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中小企業の株価はどう決まる?非上場の算定方法

非上場企業の決算書と電卓で株価算定を検討する様子

公開: 2026-10-17 / 更新: 2026-10-19 ・ 読了 約4分

この記事の要点

  • 非上場株価は類似業種比準・純資産価額・配当還元の3方式で算定される
  • 業績好調な会社ほど評価額が上がり承継負担が重くなるケースがある
  • 株価対策は数年単位の計画が必要で個別判断は税理士への相談が前提

中小企業の株価はどう決まるのか

非上場の中小企業にも株価は存在し、相続・事業承継・M&Aの際に税務上の評価額として算定されます。上場株のように市場で毎日値が付くわけではなく、国税庁の財産評価基本通達などに基づく計算式で決まる点が大きな違いです。

「うちは上場していないから株価なんて関係ない」と考える経営者は少なくありません。しかし後継者に株式を渡す場面や、相続が発生した場面では、必ず株価の算定が必要になります。知らないまま相続が発生すると、想定外の評価額がついて相続税が高額になるケースがあります。

非上場株式の評価が必要な場面
後継者への生前贈与

経営者が保有する自社株を後継者に譲る際の贈与税計算に必要。

経営者の相続発生

相続が発生した際、株式を財産評価して相続税を申告するために必要。

第三者譲渡・M&A

会社を第三者に売却・譲渡する際の適正な取引価格を決める目安になる。

なぜ非上場企業にも株価があるのか

会社法上、株式会社である以上、発行済株式には財産的価値があります。上場企業は市場取引で価格が決まりますが、非上場企業は取引相場がないため、税務署や専門家が一定のルールに基づいて「評価額」を算出します。この評価額が、相続税・贈与税の計算や、株式譲渡の際の取引価格の目安になります。

評価が必要になる代表的な場面は次の3つです。

付箋を並べて仕事の手順を整理する手元
付箋を並べて仕事の手順を整理する手元 /イメージ画像

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中小企業の株価算定方法3つ

非上場株式の評価方法は、会社の規模や株主の立場によって使い分けられます。代表的なものは以下の3種類です。

類似業種比準方式(業種平均と比較する方法)

同業種の上場企業の株価・配当・利益・純資産を参考に、評価対象会社の数値と比較して株価を算出する方法です。大会社に適用されることが多く、業績が好調な会社ほど評価額が上がりやすい傾向があります。

純資産価額方式(会社の純資産を基準にする方法)

会社が保有する資産から負債を差し引いた純資産額をもとに、1株あたりの評価額を計算する方法です。小規模な会社や資産を多く保有する会社に用いられることが多く、含み益のある不動産や有価証券を持っていると評価額が高くなる場合があります。

配当還元方式(少数株主向けの簡便な方法)

経営に関与しない少数株主が保有する株式を評価する際に使われる方法です。直近2期の配当金額を基準にするため、他の2方式よりも評価額が低く算出される傾向があります。

どの方式を使うか、またどう組み合わせるかは会社規模の区分によって決まっており、個別の判断は専門知識が必要です。詳細な算定ルールは国税庁の財産評価基本通達で確認でき、実際の申告では税理士への相談が前提になります。

株価高騰で承継が滞る典型パターン
利益の内部留保の蓄積

業績好調で利益を留保し続け、純資産価額が年々膨らんでいく。

承継対策の先送り

贈与や退職金の検討を後回しにするうちに、さらに株価が高騰する。

税負担増と承継の停滞

相続税や贈与税の負担が想定以上に重くなり、事業承継の障害となる。

株価が高すぎて困るケースと対策

業績の良い中小企業ほど、株価評価額が想定以上に高くなり、事業承継の障害になることがあります。典型的な失敗例は次のようなものです。

こうした事態を避けるため、役員退職金の支給や純資産の圧縮、持株会社の活用といった対策が一般的に語られますが、いずれも税務上の要件が細かく、実行の順序を誤ると狙った効果が出ません。株価対策は「いつ」「何を」「どの順番で」行うかが重要であり、必ず税理士など専門家に個別相談のうえで進める必要があります。

株価対策の前に収益構造そのものを見直す

株価を下げる技術的な対策も重要ですが、根本的には「社長が動き続けないと利益が出ない」収益構造そのものが、将来の評価額や承継のしやすさに影響します。社長個人の稼働に依存した利益は、後継者が引き継いだ瞬間に再現できなくなるリスクがあるためです。

収益の柱を、固定費を相殺するベースの商品・一定期間で売り切る企画・仕組み化して横展開できるもの・社長が動かなくても積み上がるストック型の利益、という形に分けて点検すると、どこが「社長個人の労働力」に依存しているかが見えてきます。この整理は株価対策そのものではありませんが、承継後も利益が続く会社にするための土台になります。

自社の収益構造がどこに偏っているかを客観的に把握したい場合、経営診断株式会社が提供する「経営自走化・アップデート診断」のような無料の自己診断ツールを使い、7つの観点を点数化してみるのも一つの方法です。21問・約3分程度で、収益構造や財務基盤の状態を棒グラフで確認できます。

株価算定を依頼する際の手順

実際に株価算定を外部に依頼する場合の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 顧問税理士、または事業承継に強い税理士・会計士に相談する
  2. 直近3期分の決算書・税務申告書を準備する
  3. 会社規模(大会社・中会社・小会社)の区分を確認する
  4. 類似業種比準方式・純資産価額方式などを組み合わせて評価額を試算する
  5. 評価額をもとに、贈与・譲渡・相続のタイミングを検討する

この一連の作業には数週間から数ヶ月かかることが多く、特に純資産の圧縮など対策を伴う場合は年単位の計画が必要になります。事業承継を見据えているなら、相続や贈与が発生してから動くのではなく、数年前から逆算して準備を始めることが望ましいとされています。事業承継の相談窓口としては中小企業庁の情報も参考になります。

まとめ

中小企業の株価は、上場株のような市場価格ではなく、類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式といった税務上のルールに基づいて算定されます。業績が良いほど評価額が上がり、事業承継の負担が重くなる場合があるため、株価対策は専門家に相談しながら数年単位で計画することが重要です。あわせて、社長個人の稼働に依存しない収益構造を整えておくことが、承継後も価値が続く会社づくりにつながります。

よくある質問

Q. 中小企業の株価は誰が決めるのですか?
A. 上場株のような市場取引はないため、税理士や会計士が国税庁の財産評価基本通達に基づく計算式で評価額を算出します。最終的な申告内容は税務署の確認を受けます。
Q. 株価が高いと何が困るのですか?
A. 相続や贈与で株式を後継者に渡す際、評価額に応じて相続税・贈与税がかかるため、株価が高いほど税負担が重くなる可能性があります。個別の税額は税理士に確認が必要です。
Q. 株価を下げる方法はありますか?
A. 役員退職金の支給や純資産の圧縮など一般的に語られる方法はありますが、実行の順序や要件を誤ると効果が出ないため、必ず専門家に相談しながら進める必要があります。
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